新本格はいいぞ

2度目!やっぱパソコンで書くのが楽しいですね。早いし。

またもや実況の話じゃないしなんならyoutuberさんの動画見て縁を感じて書いてみました。最近私の周りで結構見てるQuizKnockさんというyoutuberさんの新着動画で「『格』の違いに関するクイズ」がありまして、問題の一つに「新本格派」が答えのものがあったんですね。綾辻行人有栖川有栖、法月倫太郎などが起こした本格ミステリリバイバル運動。そう新本格ミステリ!

私の表のアカウントを見ている人は察しがつくやもしれませんが有栖川有栖ファンの私としてはいてもたってもいられずキーボードをたたいてる次第です。今日作家人生30周年記念の新刊買ったし(唐突なアピール)。

いやあ新本格ミステリ布教してえと思ったので布教します。多分私の解釈が10割だし偏見も多分に入るので流し読みで結構です。ただできるだけふんわりオタクの文章っぽく紹介する、します。

 

そもそも新本格ミステリの前に「本格ってなんぞや。上から目線な」と思うかもしれないので説明すると、アガサ・クリスティーとかエドガー・アラン・ポーとかエラリー・クイーンみたいな昔の王道の推理小説がそれにあたります。ロジックにロジックを重ねた堅苦しい文章と伏線回収!探偵!みたいな。

それが確立して一大推理小説ブームになるわけですけど、ああいうのって形式ばってるからだんだんそういう路線じゃない推理小説が増えてくるわけです。ハードボイルドもミステリの中では主人公の性格が特徴的なので別に分類されますし、背景がリアルでどこか風刺を感じさせる推理小説を「社会派ミステリ」と言ったり(東野圭吾宮部みゆきなど)、少しコミカルな推理小説も多いですよね(東川篤哉など)。

それと同じように昔の本格ミステリを踏襲しつつ現代風にアレンジした、ほかに比べると起承転結がしっかりしたものが「新本格ミステリ」になります。

ここまで説明すると「なんか読むの疲れそう」「面白味なさそう」「本格ミステリ知ってないとつまらなそう」「普通に活字だるい」など思われるかもしれませんがそうじゃないんや!

確かにほかに比べたらきっちりした文章が多いです。長編のシリーズだとホームズでいうワトソン役が出てくることが多いし、短編だと割と淡々と進みます。

私が新本格ミステリで好きなのは「地の文や登場人物に無駄な装飾がない」「でもしっかり想像できる」「登場人物たちの会話が面白い」「別の著者さんが同じ本格ミステリをオマージュした作品が見れる」「犯人を予想することもできれば、比較的集中できないときもオチに納得がいく」などがあります。

まず地の文に無駄な装飾がないというのはなんかこう、あるじゃないですか、まわりくっどい言い回し。綺麗な言い回しとは全く別の「それはっきり『今日風邪ひいて具合が悪い』でいんじゃね」みたいなやつ。あれがない。ポエムな文章が嫌いってわけじゃなくて文字数稼いでるなってやつがまずない。読みやすい。

でもきちんと小説だから背景はしっかり想像できます。むしろあれこれ考えず自分の世界観で探偵たちを動かす感じですかね。それのせいで先入観から犯人わからないこと多々ありきですが。

登場人物たちの会話が面白い、というのは腹抱えて笑うというのではないです。論理的に組み立てられた議論に洒落がちょっと入る感じの。

長編になるときちんと探偵のキャラが立ってる(推理に支障がない程度。基本殺人現場に赴く口実的なやつがある)ので「ああ~君はそういうよね、そうやって最後そのひとの奥さんに『人の心がない』とか言われるんだぞっ」ってほくそ笑んじゃう。

個人的にオマージュ作品は新本格の特権だと思います。綾辻行人さんの代表作「十角館の殺人」も、今回の有栖川有栖さんの新作の表題作「こうして誰もいなくなった」はアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品です。著者が変わるとこんなに違うんやっ!って思わされます。それはもちろんオマージュ元を知ってた方が楽しめるとは思いますがなくてもたのしいよっ!

最後のは新本格の醍醐味だとおもうんですが、ミステリ小説読んでどれくらいの割合の人が犯人予想するんですかね。意外と少ないと思う。

最近のミステリっていうとなんかお高くとまってる感でるけど、最後のどんでん返し系多いから、いやそれも好きだけど、疲れる。うん。もちろん全身全霊100%の気持ちで小説読めればいいんだけどそうじゃないことも多いし、ふと流す程度に読むことも多いと思います。そういう時に「さらーっと摩擦力ゼロで滞りなく流れる小説」は最高なんですよ。いやあいいよ、楽しいよ。

「文章にわくわくする」ってこういうことなんだなあと思います。もし興味が出たら有栖川有栖をよろしくお願いします。

個人的におすすめは「46番目の密室」「緋色の研究」です。アーサー・コナン・ドイルの方が引っかかってくるかもしれないので作者名込みでどうぞ。

 

久々にしっかり布教用文章書いた。やっぱりたのしいな。

レビューよりこういうものの方がネタバレせず紹介できますね。次回もあったらどうぞよろしく。

 

まどべ